昼間時間が空くとろくでもないなあ。思考が暴走する。ああかもしれないこうかもしれない。こういうのもある。ああいうのもある。ひょっとしたらこうかもしれないし。暴走し過ぎて困憊する。疲労する。色んなものが枯渇していくのに思考の暴走が止まらない。



日曜日だった。よく晴れてた。昼過ぎに駅前で待ち合わせて姿を探したけど見た事もないから解らずウロウロして。喫煙場所からゆっくり動いたのを見つけた。挨拶して車に乗り込んでうどんを食べに行った。食べた後珈琲を飲みに行って。だらだら話しながら質問されて、何故かそれまで医者にすら尋ねられても口に出来なかった答えをさらっと喋ってしまった。多分そこから少しずつ何かが変わったんだと思う。本当に誰にも喋った事が無かった。文字にした事はあっても。口に出すのが怖かったのか何なのか。今もよく解らないけど。



そして公園に行った。ぼーっと景色を眺めて。
そしてさよなら。



それが最初だったなあと思い出す。
結局過去ばかりで今が無いなって。




タイミングだったのかなあとも思う。その時じゃないと答えられなかったのかもしれない。その時に居合わせたのが運良かったのか悪かったのかはボクには想像出来ない。ただ彼だった。彼だけだった。




他の人にとったら小さかったり馬鹿馬鹿しいかもしれないけれどボクには幸せな事を沢山くれた。酔っ払いだったけどモニターの前で目から涙が飛び出すような事を言ってくれた。沢山沢山。それは今も忘れられない。他愛も無くて実際は決心して言ったのでないにしろボクには幸せな時だった。たとえ勢いで言って実際は嘘でも嬉しかった事は事実で真実で。それを当時の親友に言うと物凄く嫌味を言われたのは覚えてる。でも嬉しい気持ちには変わりは無くボクは彼のくれた言葉たちと幸せな時間を過ごせた。冷静に考えれば色々答えはある。だけど今もその冷静な答えをド返しにしても幸せだったなあと思う。



桜を見るのは怖いんだよねと話したら、じゃあ一緒に見ればいいと。
1回誰かと見たからって大丈夫になる訳じゃないよと言ったら、この先ずっとと答えてくれた。
他にも沢山あった。ぼそっと言った事を捉えてくれて。ボクの言葉をすくい上げてくれた。
救い上げてくれていたのかもしれない。


そりゃ第三者から言わせれば爆笑モノである。だけどそれが嘘でも嬉しかったし。



将来何匹かの猫と俺と暮らしませんかと言われていいよーと、続けてでもみんなで段ボール生活だよねwと茶化して答えて。茶化すので精一杯で。昔感じた息が出来ないとは違った息が出来ないを感じて。



今も言えない、言わなくなった言葉も彼に言えと言われたら言えた。
彼だけには言えた。



この先もう言う事はないんだろうなと思う。やっぱり誰にも言えない。それを誰かに言われたら返す言葉は躊躇いがなく「お疲れ様」「いい夢をね」それしか言えない。この先も誰かに言う事は無いだろう。




嬉しかったのかと尋ねられたらよく解らない。
ただ言われた時に息が出来ないと、嬉しいからとかじゃなく思った言葉が一番重要で。



行方不明になりたい。行方不明になって温泉宿で仲居しながら猫と暮らすんだとネタのように繰り返し言ってて。まぁ実際行方不明になりたかったんだけど。ずっと言ってきた。もう何年も前からだ。彼の前でも何度も言った。ボクにとっては半分ネタで一番いい解決方法だと思っていたから。だって死んじゃうよりマシでしょう?ってね。


行方不明になりたいと何時もの調子で言ったら
何処へ行くの?と尋ねられて
行先が解ってたら行方不明じゃないでしょと答えたら
じゃあ行ったらそこが行先だったって解るの?って尋ねられた。



それがあたしの全てだ。



……今何を望んでいるのかよく解らなくなってる。
彼の幸せを願ってる。嘘じゃない。心から願ってる。
でもそれに付随する事で違う事を願っているかもしれない。
矛盾してる。矛盾しすぎてる。
それが許せない。赦せない。



本当に彼の幸せを願ってる。嘘じゃない。その気持ちに嘘がないなら。



いつかきっと矛盾は消えて、哀しみも辛さも消えるって




そう信じられないでいる。何時までも哀しさや辛さが付きまとうんだろうかって。



でも信じて矛盾を消していかないと。



あたしが望んだ夢に彼は不可欠な存在で、でも彼が望んだものにあたしは必要じゃない。
それを認めて解って、生きていくのは楽じゃないけど死んじゃうよりいいんなら夢を変えるしかない。



もう時間が無いんだから。