雨が降ってきた。珍しく綺麗に雨音が聞こえる雨が降ってきた。ベランダ側には何の跡もないけどキッチン側の窓には雨粒が弾ける。信号機の明かりが動いて。こんな風に泣けたらいいのになんて思って。


雨は冷たいけど濡れていたいの思い出も涙も流すから

嘘じゃんね。


みゆきさんの歌詞が全部全部納得してしまうようになって。そう思いたいと思うようになって。

もう、もう随分になります。





一日の精神状態は忙しい。大半悪夢か空耳で目が覚めて。前は悪夢ばっかりだったけど数ヶ月前から空耳も参戦で。目が覚めたら一応生きてて、ボクとは違う命がいるからふらふら動いて御飯とお水を用意してトイレ掃除。そうして又眠ろうと努力する。目の具合が良くなくなってから一応努力はしている。時々丸投げにするけど出来るだけ努力する。そうして化粧しなきゃいけない時間になって。化粧しながらコーヒーを入れて窓を開けて。

その間中脳内じゃみゆきさんの「あの子」が流れる。

出勤してから仕事こなしながら「あの子」と「化粧」が流れて。時折給湯室でコーヒーを入れながら携帯をいじる。いじってまるで吐血してるみたいに絞り出して。声にならない声はこんなに醜いのかと時々読み返して。こんな事考えて思ってたのかって情けなくなって。

何度か繰り返して。そうして段々脳内に流れる音楽が「誕生」になる。

その頃やっと誤字が無いか、文章が変じゃないかって少しだけ、ほんの少しだけしっかりする。しっかりして、推敲して読み直して誤解されないようにと他に言葉は無いかって考えて。

そうして「糸」になる。

「糸」が流れる頃には大抵一緒に「空と君の間に」が流れるようになって。

送信ボタンを毎回毎回迷いながらも押してしまう。

押して吐血してるみたいに絞り出した声にすらなってない、耳障りな声を読み返さないように遠い波間に押しやる。

そうすると「慟哭」が流れる。

毎日送信した後に外に出て、5分でいいから外に出て、雨でも極寒でも猛暑でも外に出て、深呼吸をしようとする。

そうすると流れるのは「あした」で。

歌詞の全てが当てはまる訳じゃないけど、何かしら当てはまるからなんだろう。何かしら酷く納得して酷く同意して、そうだよね、そうだよな、笑っちゃうね、何でだろうね、もっと強くならなきゃって思って。もっと強く穏やかになりたいと願って。


仕事しながら何やってんだって話だけど。いつも頭の片隅で蓄音機をぐるぐる回してる痩せっぽちな子がいる。泣きそうな顔して。必死で回してる子がいる。忙しくてバタバタしてても消えない。

だから毎日流れる。


休みの日はもっと酷くて。
それに加えてDCTやら大黒やら松たか子やらが流れるからそりゃ体に悪い。あ、やべ、心臓止まるんじゃねコレと思いながらやり過ごして早どれくらいなんだって。


3年半を越えましたってね。